La Baguette magique de la gourmandise     **食いしん坊の魔法の杖**

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「日本人として~食を通して見る日本とフランス」


最近、日本人として心痛める事が沢山ある。
それは、今大問題になっている、日本での「偽装問題」である。

何が悲しいか。
それは、偽装をしている事実に怒りを覚える事ではなく、食品を次々と処分している
そういう日本のシステム、そして、日本人の考え方にである。

嘘をつくことは良い事ではない。
しかし、其の裏には、食べ物を大事にするという概念があるからであり、
当然ビジネスとしての利益も考えた上での処置であると思う。
ボランティアで無い限り、それは当然の事だと私は思う。

フランスはどうか。
私達の経営しているブーランジェリー・パティスリーを例に挙げる。
まず、捨てるものは無いといっても過言ではない。

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パンに於いては、余るようには製造しないし、例え余っても、クロックムッシュにしたり、
翌日のサンドイッチにしたりして再利用する。
クロワッサン・オ・ザモンドという商品は、余ったクロワッサンをシロップに浸し、アーモンドクリー
ムを挟み、再度焼成した、≪再利用品≫である。

また、パティスリーに於いては、例えば古くなったスポンジ生地や、古くなったマカロンの
コックは粉砕してアーモンドクリームに混ぜたり、他のお菓子の土台に再利用する。
そしてチョコレート。
これも、古くなり店頭から引いたチョコレートは又溶かし、ブラウニーや、他の焼き菓子等に
使用する。

フランスは農業国である。
自国で同じ民族が汗水流して生産した大事な食料、しかも、お金を出して仕入れた原材料を、そう易々と廃棄処分にしたりなどしない。食べられるうちは、加工して食べる。
そんな当然の行為が現在の日本に於いては犯罪に近い捉え方をされ、沢山の大手企業の
トップが頭を下げている。

これは、彼等が悪いのではなく、再利用する事を≪悪≫とみなす、日本のシステムに問題
があると、私は思う。
そして、自給率がとても低い日本は、自国で生産されていない原材料だから
愛着も無いんだろう・・・
そして食べるものが溢れている日本だから、このくらい捨てたって、誰も困らない。
そう考えるのだろう。

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私が住むフランスは、家が無く、食べるものも無い、仕事も無い浮浪者が山ほどいて
物乞いをしている。
北欧から出稼ぎに来ている人も沢山いる。
パン屋には、毎週2回、教会の人が余ったパンを貰いに来る。食べられない人に施す
ためである。
皆、食べるために必死で生きている。

フランス人は、一連の日本の偽装のニュースを耳にし、その偽装に呆れるのではなく、
大量の食料を簡単に処分してしまう日本人に疑念を抱いている。

私は評論家でも、有識者でもないが、地球上に住む人間として、
一人の人間として、今の日本のとんでもない行為に腹が立ってならない。
それを通り越して悲しくなる。
どうして誰一人、疑問を投げかけないのか?

日本は小さな国なのに、世界に於いては経済大国3位という位置にある。
戦後先人達のお陰で、日本は豊かな国になった。
しかし、心は世界一貧しい国になってしまったのでは無いか。

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フランス人は言う。
「日本人は第二次世界大戦の後の食糧難の時代の記憶を忘れてしまったんだろう」

私は思う。
そんな事すら、頭に浮かびもしないのが今の日本人なんだと。

どうか、もっと、広い心と目で世界を見て欲しい。
30秒に一人、食べるものが無くて亡くなっていくアフリカの子供達もいると言う事を。
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by yboulangere | 2008-02-04 10:02 | その他